知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

障害者ビジネスが障害者福祉を蝕んでいくの話

      障害者雇用代行ビジネスとは、障害者を自社の中で雇用管理することが難しい企業(A)などに対し、人材系ビジネスを展開している企業(B)などが場所を貸し出し、その中で A が障害者を雇用(A が雇用契約をする)し、B がその雇用管理(人集めから管理まで)を行うビジネスのことで、障害者雇用率のために生まれた福祉ビジネスの一つです。農園の形態では同じ敷地内に複数の企業(A)が混在し、時給単価が違う場合や、また生産物は A の社内で配ったり、外部団体に寄付を行ったりしている例もあるように、障害者を自分の会社に入れたくない、障害者と直接かかわりたくない企業にとっては雇用率達成には飛び切り重宝な方法なのです。そして、障害者にしてみれば、障害者施設で頑張ったって5万円にもならない給料が一日何もしなくても10万円もらえるのですからこんなうまい話はないと次々に利用者は増えて今では、5000人以上が利用していますし、会社もどんどん拡大するほどの利益を上げています。国の障害者雇用率が福祉ビジネスとして障害者には「害」があるような方法が大手を振っています。一方暮らしの場では、障害者向けグループホーム大手運営会社「恵」では、「どんな障害者でも、とにかく受け入れてしまう」グループホームとして急拡大した福祉ビジネスです。最初のGHを名古屋市で始めたのは2018年で、わずか5年ほどの間に12都県で約120カ所を運営するまでに急成長しました。恵が運営するGHは障害者の重度・高齢化に対応しようと、2018年度に厚生労働省が新たに制度化した「日中サービス支援型」(日中型)と呼ばれるタイプで、それまで虐待があった事から「職住分離」という方針を放棄したことによってできました。通常のGHは入居者は日中、通所施設や就労先に通いますが、日中型では昼間もGHにいて支援を受けることができるというもので、20年4月時点では全国に182カ所だったのに、今年5月では840カ所と4.6倍に増えました。これは、国の入所施設を造らないという方針のもと、入所施設へ入れない強度行動障害など在宅で困っている親たちにとっては頼りになる施策です。障害が重い人はその分、支援が難しく、受け入れる事業者は少なく、ニーズに応えた形となって定員がすぐ埋まる状況を「入れ食いだ」と表現までされるほどです。その結果、現場では重い身体障害のある人、自閉症で強い行動障害がある人、うつ病の人など異なる種別の障害者が混在し、支援が難しい人も多く、虐待疑いの通報が相次いでいたともいわれています。厚労省は日中型GHの質を担保するため、福祉関係者や有識者らでつくる各市町村の協議会がオープン前やその後も定期的にGHを評価する仕組みを設けていると言いますが、強制力はなく厳しい評価が示されても、事業所指定の要件を満たせば開設できてしまうのが実態ともいわれてもいます。入所施設を造らないのは国連からの指摘もあり国としては体面的にも廃止したいからですが、在宅で困っている切実な人にしてみれば「まず何とかしてよ」に答えたのがこの日中支援型のグループホームという事になります。そして、株式会社が目を付けたのが家賃という事になります。入所施設は原則家賃を取りません。しかしグループホームは家賃をとれます。更にグループホームは少人数家庭的を基本としますから定員は10人以下です。ところが重度者対象と言いながら日中型では20人まで了解されます。今どきのアパートで4畳半で共同トイレ、共同風呂、共同食堂程度の設備では学生も入居しないような設備でも家賃が4万から5万円程度が可能なのです。すると20人×5万円なら、月100万円となりますから年間で1200万円5年で6000万円の家賃収入が得られます。アパートとして設備費が抑えられ、入ったら出ていきませんとの触れ込みで地主に建物を建てさせる方法で運営会社は、土地と建物を確保する方法で大きくなったのです。今度は運営会社が儲ける番として食事代や管理費をピンハネしますから、家族にしてみれば入所施設に入った場合とは裏腹に負担金が多いという事です。つまりは、弱みに付け込んで安アパートに収容するだけで障害者の親から利益を得ているというものです。福祉に株式会社も参入させることで競争の原理が働き支援が向上すると国は言っていましたが、結果は福祉ビジネスも、貧困ビジネスと同様に、困っている人から上前を撥ねることばかりしていて質の向上なんかには何の貢献もしていないという事です。そして、株式会社は、社会福祉法人など競争相手ともせず好きなように利益の上がる部分だけ虫食いのように蝕んでいることが明確になってきたのです。