知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

山が無くなる採掘はSDGsより深刻だの話

 石灰岩は,主に大昔の生物の殻などの炭酸カルシウムが堆積してできた岩石のことで、過去にはサンゴ礁だったという事であります。海で堆積してできた石灰岩地殻変動によって隆起して出来た山や台地には鍾乳洞が形成されることもあります。石灰岩は、現代の人類にとって最も身近な岩石でコンクリートと言われる建築資材はあまりにも多く使われています。しかも日本では輸入する事がない唯一の鉱物とまで言われており、全国では200以上の石灰石鉱山が稼動していて、年間約1億4千万トン生産されていると言われています。採掘方法は、炭鉱と違ってほとんどの鉱山で露天採掘と言われる地表から渦を巻くように地下めがけて掘っていく手法ですから山が無くなっているという事なのです。気候変動の大きな要素は空気の流れです。暖かい空気が流れを変えたり、冷たい空気の流れが変わったりすることが気象を変化させています。ですから、そこに山がある事で海で湿った空気が雨や雪となる気象が現れたり、山を越えた空気がカラカラになり風となって吹き抜けるのが、空っ風だったりと、空気の流れは天候に大きな影響があるという事です。その山が無くなれば、空気の流れは大きく変わるのに、日本では、石灰岩採掘の為に全国で、山が無くなっているという事が知られていません。どれほど山が細っているかは、身近のコンクリートの分だけ採掘されているともいえるのです。コンクリートは過去には、川の石を混ぜていましたが今日では、川の石を採石する事は出来ません。その為、山石と言ってここでも山を切り崩しているのです。一方、気候変動の対策として大規模な植林を宣伝していますが、この人間による自然再生対応は、森林の成長には繋がらないという事が証明されています。例えば、2012年フィリピンのルソン島で行われた植林活動では、1時間で100万本以上のマングローブの苗木を植林し、ギネス世界記録に認定されましたが、その8年後の調査では、植林したマングローブのうち生存しているのは2%未満で、残りの98%は枯死または流出したと発表されています。植物学者は「このような植林の失敗は珍しいことではなく、頻繁に起こる出来事です」と言い、2019年にトルコ全土の2000カ所で約1100万本の木を植える全国植林デーの一環として行われた植林活動では、2カ月後には植林した苗木の約90%が枯死したと言います。大規模な植林が失敗する理由では、「間違った苗木が間違った場所に植林される」「植林された苗木が放置されている」など呆れるような理由なのです。その原因は、植林プロジェクトでは、どれだけ植えたかが重視され、植林した苗木の生存率は無視されているからとも言われています。つまり、それだけ大量の植林が出来る土地が放置されていたのは自然林としての、植物の成長が出来ない荒野だったのですから、まず苗木が育つ土地にしなければならないという事が欠落しているのです。人間の気持ちとしてのイベントで行うから自己満足で終了し、生き物が枯れ死んでいく過程に関心がない事が原因なのです。つまり、人間の善意は人間にとって身勝手な善意であって、破壊されていく自然にとっては破壊行為と大して変わらないという事です。苗木を植えた後に水や肥料を入れるなどのアフターケアをすることぐらいは誰でも知っている事なのに、植林は政府や企業が環境に優しいというイメージを促進する広報に悪用しているだけだからこんなことが起きるのです。オランダに本拠地を置くNGO法人の国際湿地保全連合は「近年行われたマングローブの再生プロジェクトの成功率は15~20%」と報告しています。SDGsそのものも、中身を読むなら、今の生活を維持するにはどうしたらいいかからしか始まっていません。それは、人間の都合を如何に継続できるかと言う発想で自然が求めているものでは全くないという事も言えます。一方で自然破壊としての山を切り崩していながらアリバイのように無理な植林をする、そうして人間の生活だけを持続可能にするという事は唯の我儘にすぎないのです。