知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

野次馬人間遭遇記の話

第1の巻 ドアが閉まりますと言うアナウンスがあったのに閉まらない。どうしたのかと思っていると「お見送りの方は黄色い線の外に出てください」とアナウンス。迷惑な奴がいるもんだと学生か、会社員かと想像しているのに閉まらない。悪質な奴らだなと勝手に思っていると、開いたドアの向こうを車掌が先頭方向へ走っていく。乗客の誰もがスマホと付き合っている中、野次馬としてはここは座っている場合じゃないと車掌の走って行ったホームへ出てみる。見るとどう見ても電動車いすと言うより、老人の電動カートのような車が電車に向かって止まっている。車掌が横で話しかけているのが見える。バッテリー切れかと思っていたら、階段を勢いよく駆け上がってくる駅員がふたり、三人になって話し合っていると思うと、車掌が走って戻ってくる。アナウンスは、ホームの安全確認を行いましたため、6分遅れとなっていますだった。動き出した電車の窓の向こうに電動カートと二人の駅員が電車を見送っていた。

 

第2の巻  待ち合わせの場所についてみると、止まっている消防車の一部が見えた。ぼやでもあったかとわざわざ出ていくと、「ブぁーン」「ブぁーン」「ブぁーン」「ブぁーン」「ブぁーン」とAEDが作動している音が鳴り響いている。救急隊員の水色の制服に白のコロナ対応不織布を着た人が4人。側に茶髪の女の子が二人、初老の男と、初老の女、駅員が一人。ぐるりと回りに立っている。よくよく見るとその中に誰かが寝ているのがうっすらと分かる。屈んでいる二人の救急隊員は、その人の体に触れているようだ。じっと見ると、腹部の肌が見えた。非常に大きい音が駅への入り口横で発報されていて、周りを取り囲む人がいて、地面には人が倒れている、この状況でも人はちらりとは見るけれど立ち止まることなく通り過ぎていく。野次馬で留まってみているのは我1人。AEDが作動して電気が流れ左腕がふぁーと上がって落ちて見えなくなった。救助する人、見守っている人、野次馬、そして通行する人の画面の中で生死をさまよっている人がいた。

 

第3の巻  電車が混んでいたのですが、子供が何か話している声が聞こえてきます。気になってそっちを見てはいたんですが中々立っている人で見えません。とある駅で人が降りると5~6歳と思われる男の子が独り言を言いながらうろうろしているのです。障害があるなーと思ってみていると駅に止まるたびに開いたドアのぎりぎりに立って閉まるドアを楽しんでいるのです。周りの大人も見てはいるのですが声をかけるのは躊躇しています。電車が動いている間もドアのある空間を独り言を言いながら動いています。迷子かな、所在不明状態なのかと少し不安になって目が離せません。6か所ほどの駅を通り過ぎて立っている人がまばらになった時、その子が一人の女性のところに行ったので母親がいたんだと気づきました。何故なら福祉の関係者ならとても事故の危険が高くてここまで自由にはさせられないと思い親ならだなと感服したからです。

 

第4の巻  電車で座った場所がちょうど開いているドアの対面端で、開いているドアはほぼ階段の前でした。出発のアナウンスがあってホームには「ドアが閉まります」とアナウンスが流れ、ドアが閉まり始めたところへ階段から勢いよく女性が駆け込んできました。間一髪と言う感じで女性は、滑り込み閉まるドアを背中に感じて、まるで達成感のような笑みを浮かべているような顔をしていました。にもかかわらず、すぐに腰をちょっと傾斜しながら周りをじっと見まわすのです。しかも、足を引きずるように座席に座る乗客に訴えるかのようなを見渡すのです。今度は身体の不自由な不幸なおばあさんのような顔目つきをしながら前を年老いた体の不自由な人ですと言わんばかりのしぐさをしながら歩きまわるのです。ところが最近の傾向として寝たふり以上にスマホ閲覧やゲームが多くて誰も気が付きはしないのです。目を合わせた途端に襲い来るある恐怖をみんな簡単に避けられているのです。駆け込み乗車が出来る位なら立っていればいいと文句の一つでもと思う前に、誰も気づかず席も譲る事もないのです。女性は次の車輛へと移っていきました。

 

第5の巻

 始発電車の駅なので、乗ってからも時間はあります。そして、空席もあります。にも拘らず優先席の端に30代の青年がドカッと座り足を組んで余計に場所を取りながらスマホに専念しています。発車時間が迫るに従って座席が埋まっていきます。そこへ老夫婦が乗り込んできました。明らかに妻の方はよろよろしていて夫が支えていなければならない状態です。荷物を持ちながら成年の隣の優先席に向かうのですが実に痛々しいぐらい、ゆっくりと向かうのです。初めに端に妻を座らせて、荷物を置いて一服する様にしてから、荷物を持って膝の上に乗せる様にして座りました。その間、この青年は何の行動もしません。優先席という事すら感じていない様にしか思えません。せめて体を縮める位の言い訳めいたしぐさもないのです。足を組んだママなのです。でも、今日注意するなんてことはご法度です。そんなことをしたらとても危険な日本になったのです。