知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

信じる者は、足をすくわれる時代の話

 「岐阜市陸上自衛隊日野基本射撃場で隊員3人が撃たれ死傷した事件に関連し、6日に訓練が再開された同射撃場で、自衛隊員が報道陣に中指を立てる仕草をした」と報道されました。更には、隊員が報道陣に向けピースサインまでしていたという事です。長い間射撃訓練が中止されて、恐る恐る非難されないように再開に至ったその日ですから報道スタッフが来ることは想定されたことです。当然幹部職員は緊張し粗相がないように慎重に行動したと思うのです。そんないつもと違う幹部の危機感なんて何にも共有できない隊員は、報道スタッフに向かって、中指立てたり、ピースサインをして報道スタッフが来ている盛り上がりとして楽しんでいるという事です。幹部が自分の進退をかけるほどに緊張している感性が、部下の隊員には全く伝わっていなかったという事なのです。そして、これほどの緊張の中にあっても平気でいられる人間が混入する時代でもあるという事です。日本では銃器を扱う事は許されていませんから、銃器を扱えるという事そのものに相当の緊張が求められているのに、報道スタッフがいるというだけで舞い上がる隊員がいるという事です。まして、自分が銃器を持ち、相手は持っていない人に向かって中指を立てるという無神経なことが平然とできる人間が混入するという事なのです。自衛隊としても、事件後の初めての射撃訓練ですから順番でたまたまという部隊が命令されることなどありませんから、報道スタッフが来ることを予想して、問題を起こさない確実な部隊を選択したはずです。そんなことも考慮しなかったとなれば自衛隊幹部のリスク管理が杜撰すぎて軍隊とは言えません。ですから、中指を立てた隊員が日常的に問題がある隊員ではないと推測されます。にもかかわらず、突然のようにこの軽すぎる行動をしてしまうという事です。今組織の中で起きているのはこの事です。一糸乱れぬ行動と言われたり、集団行動と言われたり、個性が見えないと言われた日本の組織が、一人一人の行動把握が出来なくなってきているという事です。その原因の一つが、むやみやたらなハラスメント対応という事が言えます。様々なハラスメントを含めた縛りが日常的に相手を観察する機会を奪っています。相手の感情がどのように変化するかを日常的に観察し行動を予測することが困難になってきているという事でもあります。結局、陸上自衛隊は、この隊員を訓戒処分にしましたが、陸自の最も目的としていた射撃訓練の再開はできず、再開の日程さえ決まっていないという事です。つまり、これまでは日常業務の中で、その人柄を確認してきた様々な人間関係観察の方法が否定される部類に入ってしまって、どうしたらいいのか分からなくなっている組織が増えたという事です。虐待を含めてあれもこれもだめと言いながら、どれなら良いんだを示せない人権感覚不能の人間が日本の組織の上層部を占めているからでもあります。人間関係では私人としての顔は案外わからなくても、仕事の顔と言うものはある程度想定されます。それは、職場の指導訓練によってなせるものですから、人となりを確認したり評価するためのプロセスや観察が行われてきたのですが、今日のハラスメント対策の元では、試すような言動は非難されますからできません。それに人手不足の中、人物観察はもつと難しくなっています。人の反応は様々です、特にハプニングやトラブルの時の反応は重要な人事管理の情報です。それを日々の業務の中から推測することもできますが、小さなトラブルなどで確認していくことの方が正確性は大きいと思われます。そんな小さなトラブル時にも、相手に対して穏健に何事もなかったようにしていなければ言動がハラスメントとして非難されるという事態になります。そんな小さな情報収集すら困難な時代に、これまでの経験に照らして自分を信じて選定すると大外れという事が起きるという事です。これまでの自分の経験値で人を信じていると足をすくわれる時代が来たという事です。