知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

ティーチングから、コーチングへの研修制度確立のための話

 研修で言う、ティーチング、トレーニングの、教える、訓練するという発想から、考えてもらう型がいいと言われたら、グループワークで考えてもらうという研修が流行っているのも困ったものです。大事なことは、ティーチングは適正な評価が必要ですし、トレーニングでは効果測定が必要だから、結果としてペナリティー、罰という大きな落とし穴につながってしまうという事です。現場は、お互いに支え合うことで成り立つという視点を理解して頂こうとしても、学習者への支援という感覚意識の切り替えは難しく、業務研修が上下関係の強化になってしまう事は否めません。それは、コーチングであっても一緒に、考えるという姿勢が徹底されないと、先生と生徒と言う関係は崩すことが出来ず結果はティーチングになってしまうからです。少し叱ってもパワハラと言われてしまう今日では、対等ではないスキルやキャリアを伝授することも既に新任や後輩にとっては、恩恵ではなくなっているのに、給料払って教えているのだから授業料が欲しいぐらいだなんて説教するような意識は既に間違いとされています。今日のような人手不足の時代には、「働かせてやる」ではなく「働いていただく」と言う意識変換が求められています。「働いて頂く」と言う感覚からすると、仕事も「教えてやる」から「学んでいただく」に大きく変わってきています。それは、マニュアルとして定型作業を繰り返して頂くか、自発的な対応を認めていくかに掛かっています。すると自発的対応は非常にリスクが高いものとなります。例えば、「ヒャリとしたハットした」と言う気づきを利用してレベルアップを図ると言う方法として「ヒャリハット」などと言う技能向上方法がありますが、今日では、周りがヒヤヒヤ、ハラハラしているのに、本人は平然として指摘にも反論するような事も起きています。その原因は、これまでの仕事の常識感覚が大きく変化しているからです。接客の常識だった、お客様には迷惑を掛けないと言う発想からすれば商品の陳列作業をしているときにその棚の商品を見ようとする客がいたならいらっしゃいませと言って仕事を中断してでも見やすいように配慮するが基本ですが、今日では、退けることもなく陳列作業に専念しているという事は普通に見られます。コンビニなどでは店員も少なく24時間ですから、到着した商品のコンテナがそのまま積んであって狭い通路が塞がれてしまっている事さえ日常的になりました。しかも、それを接客としてだめだと注意したなら辞めますと言う言葉が返ってくる時代でもあります。この様な事態に、コーチングを「考えさせる」と勘違いしている人は、結局説教はできてもコーチングは出来ません。私の言うコーチングは「考えさせる」のではなく、「考えてもらう」環境を作っていくことです。それは、「考える習慣」を作っていくことでもありますから、うまくいけば効果は応用的に広がりますがうまくいかなければ、徒労に終わると言うものでもあります。つまり、目先の作業のマニュアルの復習としての「考えさせる」ではありませんから、即戦力が欲しい時には全く用を足さないと言うものでもあります。何故なら、ティーチングやトレーニングの、主体は、教える側にあるしその技能にあるのですが、コーチングの主体は、職員にあるという事だからです。研修する側にこの意識の転換が出来なければ、コーチングの研修をいくらやっても効果などでないのです。今日のグループワーク研修が人を育てないのは、研修主体者の側にこの意識変換が出来ていないからです。育てるという事は、相手からすると「押し付けられる」ことにつながる感覚になるからと、研修内容から厳しさや真理の追及を省き、レクリェーション化した東京都の福祉資格研修制度のようになるからです。私の受けた、東京都の相談支援員の資格取得の研修でのグループワークでは論争さえ否定していました。だったら考える必要も何のために考えなければならないかも必要がなくなってしまうのです。一方的に聞く座学は効果がないと、仲間同士的なグループワークを流行らせ、誰でも発言できるし押し付けたりしませんだけでなく、間違いを指摘するのもダメと、突き詰めることちもなく、言いっぱなしでみんな一緒にゴールテープを切りましょうと言うレベルの研修を行うだけでなく、福祉の資格受講にも取り入れている事で、コーチィングはほとんど根付くことが出来ていません。ティーチングをソフトにしたのがコーチィングぐらいの理解しか出来ない程度の研修しかできない現状では、現場に戻ってコーチィングなど出来るはずもありません。他人のの人生に影響を与える福祉の現場にあっては、職場研修や人材育成は、ティーチングから、コーチングへの転換がされるべきとは思いますが、ティーチング感覚のコーチングしか出来ない公的資格研修を続ける限り本当のコーチィングが出来る人材育成は出来ないと思うのです。親交会なら上出来でも資格研修としては最低の研修でも御上がバックにいると押通ってしまうことで、ティーチングから、コーチングへの意識転換が行われて行かない事は残念な事です。