知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

擬人化した隣国と仲良くは一方通行の話

 テレビのコメンテーター達は、韓国の事になるとみんな揃って隣国なんだから仲良くすべきだと話します。しかし、世界を見渡せば、隣国と仲良くと云うのは幻想で、隣国だからこそいがみ合ううというのが現実です。実際、理由はともかくアメリカは、メキシコとの国境に壁を作っていますし、インドとパキスタンは、カシミールを巡って部分戦争状態を何十年もしています。アフリカでは、内戦という隣人同士の戦争も起きています。中東ではイスラエルと隣国は繰り返し戦争行為をしています。にもかかわらず、韓国とは隣国なのだから仲良くと言っているコメンテーター達も、ロシアと仲良くとは言いません。コメンテーターが口を揃えて、仲良くしたい隣人は、ロシアや中国では無いのです。その理由は、ロシアや中国は、社会・共産主義国という社会体制で長く日本の仮想敵国だからです。そして、ロシアに対しては、第二次大戦の終わりになって不可侵条約を一方的に廃棄して漁夫の利的に日本に被害をもたらせたという恨みつらみを言う人もいますから、ロシアとは、領土問題だけでなく、第二次大戦の終結もしていません。第二次世界大戦後日本は戦争に加担はしても実戦はしていませんが、世界では戦争が繰り返し起きています。そして戦地になってしまうと、住民が生活していようと、軍事的に踏み荒らされ占領されたりしてしまいます。ゴラン高原は占領されたままイスラエルに合併され、クリミアはロシアに合併されました。仲良くしたい韓国は竹島を韓国軍が占拠しています。隣国と仲良くの実態は、軍事的なパワーバランスによる大きな固定化の中で、小さないざこざが繰り返されていることに対して、同盟という仲良しグループなのだから、仲良くしようと言っているにすぎないのです。様々な条約があってもなくても、戦争は起きますし、隣国だから問題は発生しているのです。にもかかわらず、人間同士の付き合いなどと言う日本国内で慣習化されている曖昧な言葉で国の利害関係とすり替えてしまう外交ばかりの日本はいつも後ずさりばかりすることになるのです。団体と団体の利害関係の中に、個人と個人の人間関係が存在するかの様な錯覚を持ち込むことは危険なことです。一人一人はみんないい人かもしれませんが、集団になってもいい人なら人間同士の戦争なんて起きていません。人間は個人よりも集団を大事にし、集団になると狂気も巻き起こしてしまう存在なのです。ですから相手はどんな集団を形成しているかと言うことが大事で、人間同士などと日本的道徳的態度にみんなが成れるなどと言うことは情勢を見誤る原因としかなりません。日本的外交では首相でも絶対に許されないちゃぶ台返しの如く壊してしまうトランプ氏を外交として非難すればいいのに日本の外交は何も言えないのです。日本流のコツコツ積み上げてきた実績などと国民に説明している足元から、ひっくり返されているのにパワーバランスの下位国家の外交は黙って国民には内緒の裏工作に必死にしがみついているしかないのです。日本の外交が駄目だという事は、内々の含みみたいなこと、腹の探り合いなんて外交しているから、こんなはずではなかったばかりになるのです。隣国と仲良くは、倫理や道徳では無く利害の状況で決まっているのです。心情的なこととは関係なく、国際的な利害で情勢が流動的に動いているという事をもっと明確にすべきです。問題があるから仲良くできていないのに、隣同士なのだから仲良くするのが当たり前だなどと言っているような外交官僚の甘い情勢分析が実効支配を許してしまうこともあるのです。仲良くで問題を曖昧にすべきではありません。力の強い方が結局押し切るのです。最近はマスコミ等が使わなくなりましたが、死の商人は今でも健在で、商品の武器を豊富にそろえて購入者を待っています。どんなに平和な憲法を持っている国にもちゃんと販売しています。戦争の原因は当事者よりも裏で利益を得る人によると言う事は普通のことです。過去には、日本の学生運動が過激となるように資金援助したのは、右翼的資金を持つ人たちだったという話もありました。確かに、過激になって国民が嫌になり法整備が簡単に出来て、取り締まりが容易になったと言われれば都市伝説の様な感じですが、そんな罠みたいなことを過去のアメリカCIAは世界各地で実際にやっていました。テロ防止と言って中東やアフリカでアメリカが始めた戦争で難民が大量に出て沢山の国が困っていても、利益を得ている人がいるということも事実です。コメンテーターを初めとした日本の官僚は、お互いが言うべきことを言うだけでは交渉は成り立たない、落としどころが必要だと言うのですが、歴史の過去をうんざりするほど言い続ける国との交渉が適切に出来なければ、北朝鮮の戦後賠償も、ロシアの戦後賠償も掘り返される大変なことになりかねないのです。いつまでも、世界の大国のつもりで隣国を見るのは止めた方がいいと思うのです。あたかも兄貴分の様な態度で隣同士なのだから仲良くしょうよと言うコメンテーターの言葉には、見下したような感覚が見て取れます。隣国と仲良く出来る政治・経済の環境を作るのは、仲良しグループだからではなく利害をもっとはっきりとすべきですし、一方通行ばかりのテレビ解説も一段落して、問題課題を真摯に取り上げていくべきだと思うのです。