知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

福祉の第三者評価は、無駄遣いの話

「第三者評価は、福祉サービスの質の向上を図る有効な手段です。評価を行う過程で、職員が日々の業務における課題を発見することや問題意識を共有化することができ、施設全体のサービスの質の向上が期待できます。 また、提供する福祉サービスに関する評価を受けることで、現状を把握し改善すべき課題を明らかにすることができます。」と第三者評価を推進する人たちはその意義を話しますが、福祉の現場からすれば天と地ほど感覚が違っていると思うのです。福祉の現場では、単純に人が足りないであり、人手不足で定員の減員までしている現状で質の向上に気が付いたとして、改善や課題が分かったとして一体それを誰がやるのかとしか言いようがありません。逆に言えば現場は、他人から指摘されなくても支援の質の向上を希求していますし、改善点も課題も理解していますから、それが可能な条件整備をしてくれと言うのが一番の要望だと思うのです。それに、福祉の事業の利用料は全国一律で、同一料金同一支援サービスが原則ですから、福祉サービスの評価をしたならほぼ同一と言うのを前提とした仕組みです。障害福祉事業の一つ生活介護事業の実施方法がどう違おうと一人当たりの単価は全国一律で、その最低基準が守られているかを行政監査で確認しているのですから、サービスの質の向上が何を指すのかすら不明なのです。つまり、そのサービスのランクに応じた料金体系ならば誰もが、サービスの質向上が収入につながりますから競ってでも評価を求めるでしょうが、「大変良く出来ました」の印を貰ったからと言って、収入には関係ないのです。それに、他事業所より優秀と言う評価を頂かなくてもお客さんである利用者は待機しているぐらいで定員不足にはなっていないのです。現状の状態でもお客さんが待っている状態ですから、あえて、煩雑な第三者評価など受けなくても経営的にも何の問題がないのです。それに第三者評価は、法人財政指導や労務管理については補助的で、職員が職場の労務管理改善を期待してもその役割にはなく、財務指導も経営コンサルタントほどの対応も出来ないのです。調査も、事業所の説明を聞く程度で、仮にパワハラがあったとしても指摘は困難です。それは、第三者評価の仕組みにあります。第三者評価を受けるには、事業者自身が、認定されている第三者評価機関の一覧表の中から何社か選び、各社から説明を聞き見積もりを取って事業所により都合のいい回答のあった会社を選定し、契約することが可能なのです。契約後に、第三者評価会社は、事業者に「自己評価」を実施してもらい、「利用者等のアンケート調査」及び「訪問調査」に協力してもらい、実際に施設を訪れサービスの現場や職員とのヒアリングを設定してもらう事で調査するのです。調査そのものが事業所の協力がなければ出来ないのです。そうしてサービス内容や組織運営について総合的に分析し評価したものを事業所に真っ先に見せて事業所の同意がなければ、公表する事は出来ないのです。ですから、この流れを見ただけでもこの評価の信頼性が薄い事は明確です。誰が考えても、事業所が自分のお金を払って、評価会社を選んで、契約して、調査の協力をして、評価を受けて、同意したなら公表されると言う手続きにおいて、第三者評価会社が、事業所に対して客観的な立場を貫けれると思う方が不思議だからです。仮に評価が低かったり批判的な内容なら契約の解除をして初めからやり直すことだってできます。そんなことになったなら、狭い福祉業界の中では直ぐに評判となり第三者評価会社そのものが生き残ることは出来ません。つまり、わざわざ費用を払ってまで評価受けようという事ですから、選定時から、事業所に都合の良い会社と契約しますし、公表されても困らない内容で評価する事を承諾するような会社にすることは当然のことです。さらに、事業所の広報活動に役立事が出来なければ事業所内の実施の賛同も得られません。広報誌に「第三者評価高評価でした」の見出しは、既に利用している方々の不満を抑制するには効果があると言うのなら実施に協力するでしょうが、待機者に高い評価をアピール出来るなら人手が足りない時に人手の取られる第三者評価など後回しにされてしまいます。ですから、事業所としての利益が優先されたときに、契約関係にある第三者評価機関は厳然と評価する事など出来るわけがありませんし、仮にそんな会社はこの制度の中では淘汰されてしまう程度の制度であると言えるのです。福祉事業所は、評価の公表により高い評価で利用者の募集を必要とするほど利用者に不足を感じていませんし、サービス料金が全国どこでも同じなのですから、収入に連動しない支援サービスの質向上に、費用と労力を提供するほど余裕などありません。ネットなどでは公表された事業所が第三者評価を受けてよかったという事ばかり乗せていますが、高いその評価はやらせではないかと思われても仕方がないような制度で、第三者評価機関の対応に追われる現場の職員には迷惑な事だと思いますし、費用的にも無駄だとしか思えないのです。