知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

ゴーォーンゴーォーンの遠吠えの鐘の音の話

 ゴーンさんが逃亡して遠くのレバノンから遠吠えのように日本を非難しています。多くの人はこのことに冷ややかで呆れているという事が見られます。ゴーンさんがレバノンに逃れて話した言葉には、フランス語、英語、スペイン語アラビア語と多彩でしたが、日本語はありませんでした。20年も日本の企業のトップにいて、語学が堪能な能力を持っていたのに日本語は学びたくなかったということですから、本当は短期腰掛のつもりでちょっと赴任しただけの異国に、ずるずると長引いてしまったというのが、本音の様な気がします。もっと言えば、日本なんて嫌いな国だったと思うのです。だから日本人が歯向かえば、こんなところにいられるかと、お金にものを言わせて逃げ出してもおかしくはないと思うのです。つまり、ゴーンさんの立身出世はヨーロッパで上位になることであって、日本のトップになる事が目的ではなかったということでもあると思うのです。日本の企業を踏み台にしてヨーロッパの上流階級に加われるチャンスに遭遇しそうだったから日産から離れなかっただけだと思うのです。ヨーロッパのルノーのトップの方が日産のトップよりはるかにヨーロッパでは階級は上です。嫌な日本で20年も我慢して頑張ってやっとフランスの凱旋門を通り抜けることが出来そうだという直前になって、足元をすくった日本人は卑怯なやつらで、本人にしてみたなら、このままでは、再就職もままならないと怒り心頭してもおかしくはないと思うのです。嫌々地方に飛ばされた会社員が、嫌われてもリストラして支店の再建と規模拡大を実現して、鳴り物入りで本社に凱旋しようとする寸前に内部告発した田舎の社員に向かって、だから田舎もんは嫌いなんだと叫んでいる構図がちょうどいいと思うのです。そう思うとゴーンさんに日本は、初めっから嫌われているのですから、逃げ出したとしても、あばよもう二度と来るなデいいと思うのですが、ゴーンさんとしては、次の自分のステップの為の利権を奪還することが正当なことだと考えているでしょうから、日本を悪者にしなければなりません。日本人的感覚では、20年もお世話になったんだし、逃げだした時点ですべて放棄したんだから後足で砂を掛けるような行為は見苦しいとなるのですが、ゴーンさんは全く反対で、自分の権利としての取り分を遠くからでも手繰り寄せたいと思っていると思うのです。そこで考えたいのは、経済・政治の識者と言われる人たちが、世界を股に掛けるグローバル戦略を言い続け、企業のトップが多国籍であることは普通だと語り続けていることです。ゴーンさんのように、日本が嫌いでも日本の企業のトップに成れるという事をどう考えているかと言うことです。グローバルを語る人にとっては、いわゆるアイデンティティーとしての帰属意識については、経済人としてとか、地球人としてとか言う言い方で情緒的と避けていますが、現実社会では、この帰属意識が大きな意味を持っています。商売そのものは、相手を差別も、偏見も持たないと公平・平等のように言いますが、商売相手の感情は大きなものです。商売相手の国の自尊心を損なうような態度は、結果として恨みつらみを含めて残すものになると言えます。現実に、ゴーンさんはリストラは出来たけれど、経営者としての実力はなかったと言う評価が挙がっています。だから、逆にもっと大きな企業や本人の望む欧米からのヘッドハンティングにならなかったとも言えます。本人が渇望する、欧米の大企業は、彼を経営者として評価していなかったとも言えます。日本には、欧米を崇拝して欧米的方法が基準でグローバルと唱える人たちがいますが、過去にもそんな人たちによって、日本は、結構欧米に食い物にされてきた歴史があります。一例として、日本の銀の事があります。世界史でいう大航海時代からスペイン銀貨ピース・オブ・エイトは、19世紀まで事実上の世界通貨として流通しました。しかし、ヨーロッパではドイツの一部からしか、銀は産出せず、スペインが南米から持ち込んだ銀と日本の銀が世界に流通していたことがあるのです。日本の銀が大量に海外へ運ばれたのは、スペインや続くオランダに騙されていた様なもので、1600年ごろには、日本銀が実に世界の銀の3分の1を占めていたぐらい、日本から産出された銀の4分の3をヨーロッパに輸出する国だったのに国力にはならなかったのです。同様の事が、日米和親条約でもあって、明治維新後も十分の一ぐらいの価値で金が流出しています。それは、よく和人がアイヌとの交易で数を騙していたという話と重なっています。そして、戦後も大損をしていることは隠されています。歴史的にも働いて働いては、海外貿易と言う一部の人の利益のために、不当な価値操作で大損をしているのに、欧米に食い物にされているのに耐えてきた日本ですから、ゴーンさんに食い物にされても仕方がないということにもなるのですが、欧米崇拝のグローバル専門家たちが、露払いすることで次々と経営者として送り込まれる人材に騙されないことを、遠吠えの中から警鐘の鐘を聞くべきだと思うのです。