知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

丸見えになるキャシュレスの話

 今や時代は、キャッシュレスになると言われています。でも、考えてみるなら、カードだろうとスマホだろうと、購入したという根拠が無ければ口座からお金を徴収することが出来ませんから、何月何日何時に何を幾らでどの店で購入したとの明細が記録されなければなりません。そして、その記録は、自分自身が保管できるのではなく全く知らないどこかのサーバーに蓄積されるということです。あの有名なフェイスブックだって個人情報が漏れたように大きなコンピューター会社同士が情報の売買や共有化を図ったとしても絶対に公表されずに行われてしまう可能性が高いのです。なぜなら、今の法律よりコンピューター世界はどんどん勝手に進んでいき、利益が上がる方法に幾らでもルールなしに取り組むことが出来る環境にあるからです。キャッシュレスになって貨幣を持ちあることがなくなる方が便利なように見えますが、現代の私たちの生活は、自己生産は何もしていませんから、生活の全てを購入という行為によって支えています。この購入の軌跡を確認すると、生活感だけでなく、性格や生活行動、ひいては思想信条まで類推することが可能となります。その記録を分析すれば、あなたが購入したいものがいつ行っても必ずあるという環境など、簡単に作ることも出来ます。今は、色々な会社がやっているから、バラバラなカードにしておけばそんなことは起きないと思っていたら、気がついたときには会社同士が情報交換していたとか、統合されていたということぐらいとても簡単に起きてしまう世の中になっています。今までは、現金もあれば、信販会社の違い、各種の銀行口座の違いと、幾種の方法でしたから、個人の生活の一部は掌握できても、全体像までは掴めませんでした。しかし、全ての購入が、AIに処理されてしまうと、自分たちが知らない間に統合されていて丸見えにされて、誰かが覗いていてもわからないという危なさが迫っているという事でもあります。沢山の監視カメラと キャッシュレスの軌跡を合わせれば、行動の軌跡は、ナビのように出来上がってしまうということです。自動販売機の飲み物購入だけでも行動が推測できるのに、キャッシュレスになれば、現金の様な不明記録はなくなり、一円でも使用すれば記録として蓄積され、一瞬にして統合されて、家計簿以上の個人記録が作成されてしまいます。国民ナンバー制でお金を管理しようとした目論見は、強制できずに金ばかり掛かっていますが、今や国民自らがキャッシュレスという方法で、自分のお金の動きを正確に明示しようとしています。会社が違えば大丈夫などと思っていたら、民間会社が結託することは、可能ですし、株式会社なんて簡単に売買できるのですから、その会社が持っている情報が資産として売買される時代が来ていると言うことです。現代では資産が土地建物などより遙かに情報の方が高価になっているのです。法が整備されて、自分の情報保護が確立されているなら同意なしには大丈夫ということもありますが、今法律はありません。例えば、スイカ使用の記録は誰のものですか。携帯電話の通話記録もそうですが、請求すれば詳しい記録が明示されるあの記録は、誰のものといえますか。リクナビが起こした就活学生の分析情報の転売は最近のことですが、この事件をヒントに情報とその分析によっては売れるという事が明確になりました。しかし、罰は無いのです。これからは、個人情報を買うのは詐欺的犯罪者ではなく、社会的な普通の会社が、マーケッティングの一つの手段として購入することが現実に行われる可能性が高まっています。便利である向こうで虎視眈々とみぐるみ剥がされることになりかねないのです。宮沢賢治注文の多い料理店は、町の裕福な上流階級を裸にしていくという物でしたが、現代のキャッシュレスレストランは、便利だと派手に宣伝して、個人の警戒心をどんどん落として、防衛できない裸にしてしまうのです。キャッシュレスの向こうにあるのは、管理された社会ではないかと思うのです。