知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

農薬は悪人で、化学肥料は普通の人なんてとんでもないの話

 誰もが作物を作るなら、農薬は少なく、肥料はたっぷりと思いこんでいます。それは、昔から肥料は絶対に必要なものだと信じているからです。焼き畑農業だって草木を焼くことで肥料となったからとか、ナイル川の氾濫で農地に上流から肥料が運ばれて肥沃な土地だったからエジプトは栄えたとか、肥料は大切、重要と習い続けています。だから化学肥料と言われても、疑り深そうな人でも普通のこととしか思っていません。でも、農薬であろうと化学肥料であろうと人が作りだしたものであることでは違いはありません。植物は、太陽と空気があれば、無機質を要素として生育しますから、代替する太陽が見つかれば、無機物だけを水に溶かして与えれば、イチゴの水耕栽培も、植物工場での栽培も出来ます。その無機質と言うのが、植物の三大栄養素の窒素、リン、カリウムを指していて、この三大要素を、化学的工程を使って無機質原料から作られた肥料が化学肥料と言われています。化学肥料の原料は、石油・石炭などのエネルギー原料と、リン鉱石、カリ鉱石などで、国産の原料はほとんどなく、輸入に依存しています。実際の化学肥料の中身は、硫酸アンモニウムや塩化カリウムなどに変化していますが無機化合物で、尿素や緩効性肥料などは有機化合物ですが、これも化学的工程で作られるため化学肥料の仲間です。ですから、科学者の中には、化学肥料の成分のアンモニアや硫酸は天然の物質と同様だから、問題はないという方々もいます。しかし、化学肥料の中のチッソは畑作地の地質や含まれる自然の化学物質等に、酸素が多いと化学変化し硝酸態チッソと呼ばれる発ガン物質ともなります。他にも、化学変化で、硫酸や塩酸をつくることもあり土を酸性化します。もし、多いほどいいと過剰に施肥するとそれらの物質が、作物に残留したり、地下水を汚染したりして、ミミズは死に、微生物も激減します。ですから、化学肥料を継続的に使用している土地では、耕してもミミズなどの昆虫がでてこないことになるのです。そして、農業を始める人の定番事のように、酸性化した土地を中和するためにセメントの原料でもある消石灰を撒かなければならないと説明しますが、土は固くなります。今度は、固くなった土を柔らかくするために土壌改良剤が必要と、肥料を使ったことの後始末に次々と手を打たなければならなくなります。それならば、流行の有機肥料がいいと言い出す人もいるのですが、実は案外誤解されています。肥料と言うのは実は法律で規定されていて、有機肥料って何と言われて思い浮かぶ、たい肥・米ぬか・家畜ふん尿・下水汚泥などは法律上は、特殊肥料に指定されていて有機肥料とは言わないのです。ですから、有機肥料なんて表示されている原料のナタネ油かす、骨粉などは実はほとんどが輸入品なので、価格が高いだけで意外とその中身が何で有機なのか検討されているとは言えません。その辺までは、「肥料の品質等を保全し、その公正な取引と安全な施用を確保する」と言う肥料取締法の範囲の話なのですが、肥料の必要性は、以下のように説明されて誰もが納得していることに落とし穴があると思うのです。それは、簡単な計算として、農作物を収穫して持ち出せば、当然土壌の養分が不足して収量が低下してしまうので、養分を補うために、古くから山林・原野の野草や下草、人間や家畜の排泄物、マメ科植物の緑肥などが使われてきたように、収穫として引き算をしたなら、補給としての肥料を加えなければバランスが取れないという収支計算書による肥料説です。その為には、安くて農家が使いやすい形状で簡便で効果が高いものが研究され出来てきたのが化成肥料だということです。実際日本の水稲も肥料によって現在の高い収量が支えられ、肥料がなければ、米を安定して多量に生産することはできません。もし、この説が正しいのであれば、こんな仮説を立てることが出来ます。仮説「雑草が素晴らしく繁殖している土地は、雑草を刈り続けていけば土地は養分を失って雑草はやがて生えてこない」となりますが、実際はそんなことは起きません。植物はちゃんと植物間で物質の交換をしていますし土地にあった植物が交代して繁茂していきます。つまり、この計算式は自然ではなく、人間が欲しい収穫のためには、必要な収穫のための肥料が投資されなければならないというだけなのです。野菜は家畜と同じように既に人間が作りだした性質の物で人間の保護と育成によってしか人間の期待値にならないということなのです。ですから、肥料という考え方は、植物に必要なものではなく、人間が期待する収穫なり生育のためには必要なものなのです。硝酸は作物の肥料としては欠かせない成分と人間は考えていますが、これを多量に含む飼料を食べた牛は酸素欠乏状態になり、生後間もない人間の赤ちゃんがミルクや汚染された地下水を飲むと血液が青くなるブルーベービー症を引き起こすことが知られています。この他にも、濃度障害や塩類集積などが発生しています。その為、施用量より少ないと収量が低下し、多過ぎると作物の品質が悪くなったり、環境に影響することがあると明示されてもいます。肥料中の養分が作物にみな吸収・利用されれば環境への悪影響は少なくなるとも言いますが、土の中の肥料の吸収など、専門家だって簡単に理解できるものではありません。過剰にまかれた肥料は、作物には吸収されず、環境の中で化学変化したり、周りを富栄養化したりしています。化学肥料も農薬と同じと言うことはここにあります。価格が安い化学肥料だから、多いほどいいと思っている使い方で実は、環境を悪化させているのです。農薬は、植物の敵を退治する正義の味方だけど人間の体にも悪さをするので少しでも少なくして、肥料は植物の栄養だから少しぐらい多くてもいいかと思っていたならそれは大きな間違いです。肥料も人間が欲する収穫を野菜に課するためには必要ですが、植物自身は、その土地にあった養分を吸収して生育し、どんな栄養もなさそうな路肩でも、荒れ地でも、土地を開拓していきます。