知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

情報源秘匿を死守出来なかった大人の見殺しの話

 10歳の女の子を実父の虐待で死なせてしまうということがありました。この子が死ぬまでの数年間多くの大人がいましたが、狡く、凶暴な父親を前に何度も、救うチャンスがあったのに関与した大人がそれぞれに不適切な対応をしたから見殺しになったんだと報道されています。しかし、私は今回の原因はたった一つだと思っています。それは、情報化時代の中で個人情報を守るなどと騒いでる一方情報源を守るという事が非常に軽くなっているということだと思います。今回の事例では、虐待からの救出作戦ですから、情報統制は当然であるのに、情報源秘匿が何も行われていなかったという事に尽きると思っています。根拠は、アンケートの実施が6日で一時保護されるのが7日という速さです。これでは誰でもアンケートに原因があったと感じます。対象児が幼児ならともかく、10歳なら話も聞けるし対応も出来ますから、普通は、面談調査や事実確認を行って、本人の意志を確認し、緊急度をまず検討します。本人が家へ帰るのは困難だというならその場で保護もありますが、緊急事態でないならば、父親には秘密の緊急用連絡先、支援者がいることを伝え、選択肢の一つとして保護があることを伝え、虐待の証拠集めをまずはすべきです。特に実の親の場合は、躾として虐待を認めず、訴えた本人が報復を受けたり、家庭に居場所がなくなる危険があります。ですから分離救出作戦は、極秘に慎重な準備を進めるものです。ところが翌日には保護されてしまうのですから、突然の保護が父親にとっては、どうして家庭内のことが「ばれたのか」「誰が言ったのか」「告げ口の犯人は誰だ」が一番の課題になり、主訴である娘の苦痛なんて全く考えてもしないと思うのです。実際保護中に8回行われたという面談でも虐待を否定しています。そして、父親は面談で、何故保護に至ったかのその情報は、何だったのかのを詮索し続け、アンケートに娘が何か書いたことが引き金であることを知ったと思うのです。ですから、一時保護解除後には母親を連れて児相ではなく、学校、教育委員会に抗議に行くのです。なのに、学校は、情報源がアンケートであることを認め、アンケートの開示を本人の了解がないと断るのです。つまり、この段階で、父親は一時保護と言う不名誉な恥をかかされた原因が自分の虐待行為ではなく、娘が学校のアンケートにいらぬことを書いたためだとすり替えて確信してしまうのです。告げ口犯人探しをしている父親に、情報源がアンケートだと悟られた時点で虐待事例としての救出作戦は、失敗と言えます。本来、救出は失敗するリスクを考えて行いますから、その情報源が相手に知られてしまうと失敗後は、極端に警戒されて二度と同じ手が使えなくなります。特に内部通報と悟られると、情報源の内容を知っている人は限られますから犯人捜しされれば特定される可能性の方が高まります。虐待者は、情報が外に漏れて自分が加害者であると非難されるのを防ごうとしますから、内部通報者を見つけて口封じすることが優先課題となります。この場合だと、初めに妻を殴り問い詰め、次は娘となります。つまり今回のように本人の訴えの場合は、本人ではなく外部情報であると装い本人からの情報を今後も確保する処置をして対応するのが普通なのです。どんな事情があろうと、本人からの訴えの場合には、加害者が、被害者の口封じなどと言う行為が起きないようにしなければ報復加害行為が増加するのは当然なのです。今回のように加害の父が否定するのは当然ですから、父親が娘に二度と訴えられないように対応する可能性が高いのです。だからこそ、本人が発信できる環境を作らないと緊急事態が発生しても救出できないことが明らかです。にもかかわらず、学校はアンケートの内容を伝えて説得しようとするのです。情報源の死守なんて全くなく、学校に抗議までしてくるような怖い父親に、子供の訴えがあったからと対応の根拠を一番弱い立場の子どもに押し付けてしまうのです。逆に言えば、訴えがなくなれば何も出来ないと証明しているのです。虐待は本人の訴えに関係なく犯罪として傷害罪として対応できます。自己申告罪ではありません。ですから、学校は、本人の同意がないと拒否するのですが、その3日後には女の子の同意書を持ってくる教育委員会に訪れ、まんまと教育委員会からコピーをせしめることに成功するのです。一番弱い立場の女の子の同意など全く関係ないことで、学校は責任回避するのです。私がアザを見たから女の子を問い詰めて学校の判断で通告した、アンケートなど知らないと言いきればいいだけのことなのです。アンケートについても、情報源を守るという事が貫かれていれば、教師として生徒からもらった手紙を他人に見せるつもりはないと断ればいいだけのことです。学校は本人の申請があっても内申書を含めて本人にも開示拒否をすることがあるのに成人していない保護しなければならない児童の秘密に対して本人の同意があればいいなどと言うこと自体が大人の対応ではないのです。アンケートを回収するために全力を出している父親ですから、本人に同意書を書かせるのは簡単で、告げ口をして俺に恥を書かせた証拠品をこうして確保するのです。内部通報制度で一番大切なのは情報源が悟られないことです。絶対に分からないという事が絶対です。それでも、情報の共有者は特定され、その周囲の人間だという事は該当者には推測が出来るものなのです。柏児相が、保護するときに保護の原因を隠すための細工をしなかったことが最大の原因でもあります。情報源を死守するどころか加害者に開示した挙句に、「一時保護に対する怒りを抑えるため」「子供が虐待と感じていることを知ってほしかった」などと自己弁護の言い訳をしていますが、加害者の報復が始まることは普通の感覚なら誰でも分かることです。勝ち誇ったようにアンケートのコピーを面前に置かれたとき、この女の子は、絶望しただけでなく、もうおしまいだとすべてを諦めたと思うのです。そして、お前の性だと父親から責められたとき、一番悪いのは自分だと観念するのです。女の子の心情は、家族として父親に受け入れてほしいです。虐待されている本人は、家庭の支配者がすべてですから、自分の家庭が普通ではないとは思わず、支配者に受け入れてもらう事だけに専念しています。ましてや実の父親であれば、父親に受け入れてもらえるように努力するのは当然です。そして、父親は、本人が悪いから愛情として叱っていると洗脳しているのですから、アンケートに父親の悪口を書いた本人が悪いというのは当然の結果です。悪い子だから父親が叱ったのに、その父親の悪口を他人に云って父親を悪者にするという事は、女の子が悪いことをしたという事に他なりません。家庭の中では、父親が怒るのも無理はないと思わざるを得ない結果になったのです。だから、女の子は、その後口を閉ざすし、傷があれば自分から隠すし、暴力があっても逃げないのです。学校で裸にして身体検査をしてアザがあっても否定します。子供は、父の支配下なのです。それしか知らないのです。父親は否定のまま、本人は怖いと面会を断ったその後帰宅を希望したのは、子供は家族として父親の方を見ているからです。父に受け入れてもらいたいと必死なのです。自分が悪いと思っているのです。ところが、父親には、子供を大切にするという本能はありません。子供は所有物と言う事はいくらでもありますが、子供を大切にするは本能としてありません。父親の愛情は学習によって育成されるのです。ですから、過去にも、現在でも、貧困のために子どもを売り飛ばすなどと言うことは世界にはまだまだあるのです。現に、日本の法律には、親の懲戒権があるのです。それだけに、家庭内の虐待を考える時、被害者本人が訴えた場合は、被害者保護の第一は、情報源を秘匿するという事に尽きるのです。そうしなければ、元の場所へ戻せば確実に報復されます。加害者に外部の者の通報であると被害者に目が向かないような工夫をしなければこのような事件になるか、子供は帰る場所を失うことになるのです。