知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

避難訓練は、効果が無いの話

 法律にも、年に2回以上の避難訓練が定められていて、福祉施設では監査の時も必ず実施状況が確認される避難訓練。効果はあるのかと聞かれることがあったら、私は、はっきりと言えます、「効果はありません」むしろ、訓練で事故が起きるリスクの方が高いと思っています。災害は忘れたころにやってくるという諺がありますが、忘れたころにやってくる災害だって前回と異なっており、同じ状態など一つもないというのが実態だと思うのです。どんなに想定して訓練しても人間が想定できないような災害の方が多くて、発生時に素人が年に何回かやったことがある程度の訓練経験で対応できることはとても少ないのです。例えば、消火訓練。大きな器に入った油に火を付けて消火器を握って消火剤を発射する訓練があります。誰もが真剣にピンの抜き方から、ホースの狙い方まで丁寧に説明される消防署員に従いながら一生懸命にやるのがこの訓練内容です。でも、この訓練の会場や現場を見ればわかりますが、事故が起こらないように周りに可燃物がないように排除した火災現場では絶対ない安全な条件確認がされているのです。ですから、この訓練では消化器の操作訓練で十分なのですが、気分や雰囲気として油に火を付けているにすぎません。実際の火災では、まず熱くて火元に近づくことさえ簡単ではありません。さらに煙が迫り来ます。そして燃えながらはじけるパンパンという音は爆発につながるのかと恐怖感さえ湧いてきます。そんな火災場面に遭遇して冷静に訓練通りに対応することは誰でもができる事とは思えません。特に今日の福祉施設等は、スプリンクラーなど付いているのに、素人が頑張って初期消火などと手間取っているうちに火災は拡大してしまいます。むしろ、少ない職員で障害のあるかたや高齢者を守っているなら、安全な場所への避難を最優先で行ったほうが適切だと思います。にもかかわらず、避難訓練避難訓練とまるでアリバイ作りの様な避難訓練と消防署へ届け出たという文書を行政は求めるのです。あのけたたましい警告音、気持ちを苛立たせる警告音が出ても、イベントのような防災訓練だから我慢できるのです。実際になれば、不安と恐怖感を煽り立てるだけのイライラ御以外の何物でもありません。つまり、何のサインか理解している人には重要なサインですが、意味を理解していない人にとって見れば警戒音は、不快音そのものです。冷静に避難など出来るものではありません。ですから、工夫しているところでは、職員だけに分かる暗号が使用されているところもあります。

 秋田のアパート火災て5人が死亡し10人がけがをしたという事故がありました。ここは公的資金を使用していませんでしたが、管理人1人を含む中高年の1人暮らし25人の男性が住んでいて、精神科の救急指定を受ける病院の通院者が17人いたし、生活保護の受給者も少なくとも12人いたということです。この経営者は、経営する同様のアパートが2年前に火事になったことから、入居者の避難訓練を行ったり、建物内の禁煙を呼びかけたり、管理人を配置するなどできるだけの対策はとってきたつもりだと話、消防の改善指摘などもなかったようです。が、現実に死亡事故の発生になりました。ここで重要なのは、危険察知、自己防衛、避難の判断ができる人に有効な設備や訓練は、危険回避の判断や理解に課題がある人には役に立たないということです。つまり、避難は移動ということですから、移動することについて自ら必要だと思う人は避難するでしょうが、移動の必要性を感じなければ動かないということです。ましてや安全な移動などということを自主的に判断してはくれません。管理的に言うと、避難なのですが、一人一人の行動では単なる移動なのです。大雨であったり津波であったりしても、動作としては移動なのです。速やかに所定の安全圏に移動してもらうにはどうすればいいか、出来るだけ自主的に移動してもらえるのはどんな方法があるのか考えることもなく、単なる避難訓練をして、消防に届けていればいいというのは役人的アリバイ作りにすぎないのです。人を動かすということは、そんなに簡単なことではありません。形式的な避難訓練を押し付ける行政が変わらなければ、効果もない避難訓練に無理やり参加させられる対象者だけが迷惑をしていると思えるのです。