知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

子どものうつ病の診療指針が患者を増やすの話

   日本うつ病学会が7月に「児童思春期のうつ病」を初めてガイドラインに載せました。ここでは、大人のうつ病の診療すら難しい中、子どものうつ病はさらに難しいので、指針が求められていたと言い、児童・思春期に推定5%程度の該当者がいるが適切に診療されているとは限らないと言っています。と言いながらも、指針では、子どもの診断基準は大人と同じで可能とし、何故か米国精神医学会の基準を紹介しています。うつ病学会はうつ病の原因をどう捉えているのか分かりませんが、私などは、精神・心理的要素が大きく、生活・文化環境が大きく影響すると思っていますから、日本の子ども達の環境とアメリカの子ども達の環境は違いすぎて出現する症状の根源も異質なことも多いと思うので、日本基準を検討して貰いたいのですが、何故か米国なのです。つまり、説明される「抑うつ気分」や「興味や喜びの著しい減退」は生活課題で身体的疾病ではありません。結果として「不眠や過眠」などの特徴的な症状の原因追及は、生活の中に求められる場合が多いと思うのです。その為この指針でも、本人や家族の話をよく聞いて、家庭や学校と連携することの重要性を指摘し、診断では、ほかの病気や薬の影響がなく、生活に支障があるかを確認し、成育歴や家庭・学校での状況を医師が把握することが重要としていると言うのです。そして数少ない児童思春期精神科の医師は「家庭内のいさかいや学校でのいじめが影響していることが少なくなく、家族や学校と連携して治療を進めることが欠かせない」とも言っていますから、明らかに心理的・精神的な事象を原点と見ています。ところが、そういいながら、医師の受診をすると、そんなことに時間をかけて調査する医師など皆無で診察室で聞いた症状に、疾病名を付けて向精神薬の処方をするだけなのです。にもかかわらず、発達障害うつ病などの兆候を早く見つけて、必要なら早く医療につなげて症状の悪化を防ぐという考えが、学校現場に浸透してきて、文部科学省も、子どもの異変を見抜くための、教師向けの手引き作成し、地域病院の医師が学校の中に入って教師の相談に乗るというような取り組みまで始まっているのです。

    問題なのは、今学校でも、少しでも平均的で無い、規格外の子どもを疾病・障がいとして医療へ繋げることが必要だとされている風潮です。医師は、話を聞いたり調査したりしても利益となりませんし、医師が診たという周囲の期待感から、診察室だけで疾病名を付け服薬の処方をします。そして、服薬が効かなければ、ますます増量して限界まで処方するのです。その薬の多くが、向精神薬なのです。早期発見の、実態は教育的環境の提供や生活環境の調整のための調査や対応では無く、手っ取り早い服薬の勧めでしか無いのが現実です。教師と言っても新米からベテランという大きな差の中、自分の力量が低い教師ほど、薬を求めるのです。そして確かに一時的には思い通りになりますが、再び平均的で無い行動をして薬だけが増えていくのです。早期発見が、子どもの周囲の環境が整えられて状況が改善するということではなく、不必要な服薬によりその後に深刻な副作用に苦しむということになるケースが増えています。医療に繋げると、向精神薬の中毒患者になって仕舞うという警鐘はずっと出ています。向精神薬は、服薬を決めることは簡単ですが、服薬を止めることが非常に難しい薬です。実際に、興奮を抑える薬を3、4歳で与えていた医師や睡眠障害を抑える向精神薬を、1歳や2歳に処方したという医師まで報告されています。その原因は、医師が大学で診察室を出て患者の生活を観察したり話あったりする方法を学んだ事も無いし、服薬以外で報酬を得る事が出来るようにはなっていないからです。病気で無くとも診察室に入れば、病名と薬がもらえるというシステムに今も健在です。この為、医師の中には、医師向けに子どもの向精神薬の処方の指針作りにしている方もいます。この医師は「向精神薬が成長過程にある子どもの脳に与える長期的な影響については、全く解明されていません。慎重な投与が必要だと思います。」と言い、誰もが、薬だけに頼るのではなく、問題行動の背景に何があるのか考えようと言いますが、現実には子どもを平均的行動が出来ない子、規格内に入れない子を見つけては、大人の都合で、向精神薬の処方へと繋げているのです。教師や医師の勧めるままに、学校に迷惑をかけたくないという親の思いを逆手に、服薬していくと、薬を減らそうとした途端に「離脱症状」と言う向精神薬特有の激しい副作用に苦しめられます。向精神薬は、中毒薬との境が曖昧なぐらい、中毒性が強い薬です。このガイドラインでも薬の使用は慎重にするように求めていますが、実態は早期発見、早期薬漬けが子どもに増えています。子どもの気持ちに寄り添いながら考えることは医師には出来ませんし、そんなことが出来ない学校教育が、向精神薬漬けの子ども達を増やしています。