知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

これだけ一票が踏み台になっても選挙は成立しているの話。

 NHKから国民を守る党(報道ではN国と言われている)が参院選比例代表で1議席を得ました。この代表の立花氏は一票の重みを語る知識人より遙かに現実的な方法で、結党して6年という月日で、国会議員の席を確保しました。報道された、本人が話す内容はこうでした。立花氏は、船橋市の市議に「NHKから国民を守る党」として立候補して初当選しますが、1年程度で、東京都知事選に鞍替えします。知事選では落選するのですがすぐに、東京都葛飾区議に立候補、当選して1年半ほどで、今度は大阪堺市の市長選に立候補します。そして落選。今回の参院選立候補となります。つまり、選挙で当選してもいわゆる腰掛程度の議員活動と地域とは関係なく少しでも上位と思える議員の座を求めて鞍替えしていくという方法で、次には衆議院に鞍替えすると明言しています。この間に、NHKから国民を守る党としての知名度は上がり、地方選では、26人の地方議員を当選させています。その地方議員にも議員活動などは本人任せで、目的は地方議員の給与から金を借りるためと言い、「国政選挙のための資金稼ぎ」と公言しています。確かに、参院選比例区に出るには10人以上の候補を有し最低3千万円を超える供託金を準備する必要がありますから、26人の地方議員を資金源とすると言うのは効果的です。現に、今回の参院選には、37人もの候補者を立てているのに「候補者が当選するとは考えていないが」「売名行為」ができればいいと明確です。NHKのテレビ政見放送でもひたすら「NHKをぶっ壊す」と言う一つのフレーズを繰り返し続けた候補者もいました。とにかく、数を確保するためにどうすればいいかそれだけに徹して、ルールさえ守れば何でもありという作戦で、選挙区で計3・02%の票を得て、国庫から約5900万円の政党交付金を受ける資格さえ得ました。立花氏の公約は、たった一つで、受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようにするスクランブル放送の実現だけです。これまでの政党なら、数ある公約の中のその他に掲げる程度の小さい小さい事柄です。しかし、あの高飛車なNHKの態度と選択したい候補がいないと嘆いていた人には、面白いと感じられたのかもしれません。でも投票した人の思いなど関係なく立花氏は、民主主義は数の論理ですと数を求めて、世間から非難されている議員を含めて大勧誘を始めています。過去には、三公社五現業と言われた日本国有鉄道日本専売公社日本電信電話公社の三公社は民営化され、郵政・造幣・印刷・国有林野・アルコール専売の五事業も国有林野事業を除いて民営化または独立行政法人に移管されました。その流れから言えば、NHKも民営化されてもおかしくはない組織で、契約の義務は法律にあっても支払いの義務が書かれていないのに税金並みの取り立てをしたり、契約の終了の規定がないなど問題がありますから、不愉快と感じている人は沢山います。ですから、単刀直入なNHKから国民を守ると言われると何か期待してしまうかもしれません。こんな方法でも民主主義では選挙は成立し、立花氏に投票した船橋市民や葛飾区民は、ただ踏み台にされたという事実さえ非難されることもありません。そして、立花氏は当選会見の場で早くも「ぼくが衆議院にくら替えする可能性は極めて高い」と語ったことは、政党交付金を使えば衆議院に立候補する資金は得ましたという意味になります。立花氏は、立候補すれば、NHKの政見放送で、再び「NHKをぶっ壊す」を繰り返すことが出来、勢力拡大の為の広報活動になると確信しています。立花氏に投票した人の思いなんて何も語ることはありませんし、マスコミも立花氏に何か変だという表現はしても一票を踏み台にする不適切な方法だとは言いません。ただ、NHKから国民を守る党方式で、一点集中型の不満を票に結びつけて独裁的政権を生み出し全体を不幸にしたという歴史も日本にはあります。つまり、民主主義は、話し合いや性善説で成り立っていると説いている間に、選挙と言う権力掌握手段によって、戻れない方向へ向かうこともあります。民主主義は、人類の理想ではなく、過程にすぎないことを、選挙は民主主義の理想を叶えるものではなく、数の論理で成り立っていることを、マスコミも適切に話さなければ自分たちが否定される側にいつなるのか分からないということを認識すべきだと思うのです。