知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

哺乳類でも男は乳が出ないの話

 厚生労働省は、これまで主張してきた母乳に関する認識を改正すると発表しました。内容は、母乳にはアレルギー予防効果がなく、粉ミルクの併用も肥満に影響しないというものです。母子手帳に記載する事項でもある授乳や離乳の支援に関する内容を盛り込む指針の変更で医療従事者向けにひっそりと改定します。ですから、母乳が出なくて苦しんだ人や非難された人への謝罪もなく、なんの問題もないように変更されてしまいます。母乳は、免疫などを含めて母親から受け継ぐことが出来る最良の物で、子供は母乳で育てることが一番良く、母乳で育てるから人間はほ乳類なんだとまで言い切ってきたものです。その為に、疾病だけでなく体質的なものを含めた母乳の出ない母親を散々いじめ、苦しめ、非難してきた元凶の間違った考え方です。にもかかわらず謝罪もしないのです。そして、その基本は今も変わらず母乳信仰なのです。母乳信仰の背景には、男性としての目線が基本にあります。その一つは、母乳でなくても子供は育つと言ったら、育児の手抜きを母親がするかもしれないという不信感です。母乳を与えなければならない期間は、2時間3時間おきですから、母親はゆっくり寝ている暇もありません。当然働きに行くだの、外出するだのの行動は、授乳が最優先として制限することが正当化されてきました。疾病・体質で母乳が出ない人を母親失格の如く非難し、働く母親には、乳飲み子を置いてまで働くのかと責める根拠として、母乳がいいんだと言い続けてきたのです。それが俗世間の迷信的なことであれば時代の変化と共に変えなければならない項目の一つとも言えますが、一部の母乳信仰の医療関係者が信念のように加害者と認識せずに母親に指導するから被害者が出ていたのです。今回の、アレルギー予防効果なしや肥満に影響がないは、最近の研究結果ではありません。逆に今更と思う医療関係者や育児関係者は多い内容ですがこんなにぐずぐずして、謝罪もしないのは、まだまだ母乳信仰者が医療関係者に多いからです。それでも、母乳の良さの過度な強調が養育者を追い詰めているとの指摘が大きくなってきたことが今回の改正へと繋がったのです。問題なのは、赤ちゃんの食事として何が良いかとか、何が駄目かという論議では無く、授乳を通して母子の愛情が湧くとか、母親としての意識が高まるとか、深い絆が生まれると言った精神論や家族関係を絡めてしまうことです。例えば、天皇家だけで無く高級貴族や格式ある武家では、乳人とか乳母という人がいて子どもは実母から授乳して貰っていたわけではありません。ですから、親子の絆が授乳で深まるなんてことは迷信なのです。今日では母乳並みの粉ミルクや液体ミルクがありますが、昔は母乳が飲めなければ家畜の乳を使用したりして苦労していました。つまり、科学の恩恵である人工乳を家族の判断で必要に応じて使用することは当然だと明確に言うべき事なのです。しかし、記事によれは「厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド改定に関する研究会でおおむね了承された」と言うように、まだまだ母乳信仰者の方が幅を効かせているとしか言い様が無い状態なのです。その為、母乳育児は推進しつつ、「少しでも粉ミルクを与えると肥満になる」などの誤解を与えないようにすべきだていどに留めるのですから、母乳が出ない母親攻撃がまだまだ続くとしか言い様がありません。母乳が出ないことで医療関係者から苦しめられるような母親が1人も出ずに、楽しく育児が出来る様にするには、赤ちゃんの食事をどうするかは、家族が決めて、ほ乳類なのに母乳の出ない男でもミルクという手段を使えばほ乳類の一員になれることを明言すべきだと思うのです。