知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

介護脱毛は、道を間違えるの話

 老後に介護されることに備え、デリケートゾーンの脱毛を行う「介護脱毛」を始める40代から60代の女性が増えていると報道されました。報道によれば、親を介護した経験などから自身の将来を見据えクリニックやエステサロンで脱毛する客が増えているということです。理由は、デリケートゾーンは毛や皮膚の間に排泄物が残りやすくアンダーヘアで蒸れが生じて細菌の繁殖による臭いやかぶれも起きる恐れがあり、炎症や細菌感染症、尿路感染症を引き起こす可能性もあるからと解説しています。さらに、脱毛でこれらのリスクを軽減できるだけでなくおむつ交換や排泄介助の際の臭いが軽減されたり、清拭が楽になったりと介護の手間も違うといいます。調べてみると、介護脱毛は、介護を受ける方の、気配りとされながら、最近では介護される方のエチケットなどという発言まであるのです。人によっては、脱毛した方が、便利なのでしょうが、「自分がキレイになりたい」とか「自分の趣味・趣向」ならそれもいいのですが、将来介護されることを考えて介護者のために脱毛することが、あたかも正しくて、自主的に行うことがマナーのように言われ出していることには納得できません。こんな正解でも無い、情報を流し続けることで、介護脱毛を自己決定させるような巧みな誘導が、過去には、障がい者の避妊手術に繋がったと言う事もあります。それだけで無く、マナーが出来ない、エチケットがわからないと自由に外出も出来ない様に社会的圧力で、障がい者を追い詰めた時代がすぐ前にあったことを忘れるわけにはいきません。誰もが、毛を剃るだけだから良いのではと思うかもしれませんが、自主的な行為であるとされているその本当の目的が、自身の好みのためでは無く介護の軽減だと言う事に間違いがあると思うのです。つまり、介護の軽減の為ならある程度は本人も歩み寄るべきだと言う事が、エスカレートしていくと、うんこやおしっこをすること自体が介護の手間で迷惑という事になってしまいます。現実に介護の現場では、夜間の介護を避けようと飲んだり食べたりを制限する高齢者もいます。歯磨き一つをとっても、総入れ歯にした方が手間が掛からないとなってしまうかも知れません。自然のままの介護を受けることが、人様に迷惑を掛ける贅沢な望みとなってしまう時代を呼び寄せるような行為が介護脱毛としか思えないのです。高齢化が進んでいる日本では、2025年には65歳以上の割合が約30%にに達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されています。その時、自分が第三者から介護を受けることを意識し、ワキや局部などを脱毛するという介護脱毛が、常識になってはならないと思うのです。しかも、現在、クリニックやエステで使用されている脱毛機はすべて毛のメラニン(黒の色素細胞)に反応して脱毛するしくみなので、レーザー脱毛は白髪になってしまうと黒の色素細胞がないためできないのです。ですから、40代ぐらいの女性に急がないと間に合わないような不安を煽った言い方も一部ではしているようです。でも、脇も肛門周囲の毛も、女性は歳を召されると不思議となくなるとも言われています。つまり、本当に介護が必要な頃には自然に薄くなったり無くなったりして介護に手間が掛からないかも知れないのです。脱毛サロンやクリニックの新たな顧客開拓という側面もあるかも知れませんが、介護に迷惑だからと、自然に反する行為までがマナーやエチケットになってしまうのは、道を間違えてしまった過去と同じ道へ迷い込むことだと思うのです。介護の世界にもロボットとか確かに人手の掛からない方法が導入されてくるでしょうが、福祉や介護は、社会の迷惑だけど仕方が無いからやってやると言うものでは無く、人として最後までただただ普通に生きていたいという願いの実現だと思うのです。