知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

風通しがよい職場は、学校と間違えているの話

 憧れのように、「風通しのよい職場」を求め、いかにも素晴らしい社風のように語られますが、「風通しのよい職場」って何と言うと、自由に意見が言えるとか、上下に関係なく話ができるとか、職場の人間関係に関わることばかりが出てきます。職場は仕事の場ですから、当然組織もありますし、先輩も後輩も、初任者もベテランもいます。この混合集団の中で、自由に意見が言えないという事、上下関係に関係なく話が出来ない事とは何かを考えてみると、学校と間違えているのではないかと思われるのです。職場は組織ですから、普通それぞれに役割と範囲が決められておりひとり一人がまず持ち場を守るという事が優先されます。持ち場は、経験や能力・業務評価によって決められていますし、文書となっている、いないに関わらず、マニュアルや手段方法が継承されています。この状態の中で、一体どんな意見があって、話の出来ない上下関係てどんなことなのか、想像しなければなりません。何故なら、業務のやり方は、蓄積によって成り立っていますから、その蓄積を否定するだけの意見があるならそれは言えばいいし、上司が命令的でワンマンで話しにくくても、自分の役割を果たせばいいだけです。昔なら、「飲みに行く」と言う環境の中で解消されたという人もいるでしょうが、それは、会社と一体になっていた時代の話で、終身雇用が解消された今、職場と私生活は別と考えていますから、業務の事は業務中に解決しなければなりません。一人一人が自分の業務としてこなしているのに、何か意見があるという事になれば誰かが聞く係りとなって自分の仕事を保留して聞かなければなりません。相手は、業務の内容で、上司か、先輩か、ベテランか、となるだけで、淡々と対応すればいいだけです。逆に、業務で複数の人が度々話があるという事で誰かが自分の業務を中断して話さなければならないというのは、迷惑なことでもあります。「仕事の愚痴や本人の感想」を丁寧に聞いたり、勉強もしない職員の感想や思い込みで話される事を業務中に聞かされる職員の方がいいとばっちりだと思うのです。お話し好きな職員のお話のために仕事に来ているのではないと、中断している自分の仕事を終わらせたいと心では思うからです。と言うのは、仕事の事は権限のある者を口説いてこそ仕事だと思うからです。仕事の第一は、説得であり自己主張です。自分のやりたいことは、権限を持つものを説得しなければ何も動きません。その為には、先輩やベテランに論争を挑んで自らを訓練しなければ説得力は付きません。話せる場を作ってくれなければ話せないとか、上司が話しかけやすい雰囲気でいなければ話せないなんて人が、社外で交渉など出来ません。社内だからこそ訓練できるのですから、場の提供を求めるより自分で場を作る練習をするべきです。また、人物評価というものは、まるで違うというのが現実です。ある人はワンマンと言い、ある人はリーダーシップという事があります。成功すれば英雄ですが、失敗すれば落ち武者です。その差は、風通しの良さではありません。会社の活性化を目論む幹部職員が、様々な研修コンサルタントの営業に乗せられて研修をしています。しかし、確かに言っていることは正しいし理路整然としていますが、それだけと思うのは、研修内容を確認してみれば結局、職場と学校は違うのに、学校のクラス運営の如く話し合える雰囲気でみんなで決めていきたい程度のことが、「風通しの良い職場」にすり替わりかねないのです。

 どんな組織にも課題はありますが、心地よい抽象的な言葉を求める職場は、衰退期に入っているだけなのです。そんな弱みに付け込んだコンサルタントが、職員の不満を解消し活性化する方法としてアピールに用いる言葉でしかなく、具体的に何も出来ない職員が「うちは風通しが悪い」と言うだけの言葉なのです。なぜなら、本当の風は、気ままで人間が゛コントロールなんかできません。上り調子の職場やベンチャーとして生き残っていく職場など、上昇気流の風に吹かれている職員集団は、組織の目標に向かってそれぞれの持ち場をしっかり守っています。しかし、衰退期にある職場は、自分の持ち場が安定しなくなっているということなのです。学校というところは、一人一人の持ち場を特定していないから、その場面によって主役も装置も変えることが出来ますから、みんなが納得するまで話し合えばいいのです。しかし、学校と職場の大きな違いは、職場は常に外を相手にしていることです。学校は身内の納得で済みますが、職場は身内の納得を受け入れられる外の該当者の存在がなければ成り立ちません。内部では方肩書がなくても、外部がポジションある者でないと会わないと言ったら、それだけのことです。風通しの悪い職場では、会議でも意見が出ないなどの事例を言われ、風通しがよくなると、みんなが生き生きと活発な意見を言いますと営業トークされると衰退期の会社は、縋ってしまいます。でも、衰退期の職場は、風で変わるのではありません。業績が上がっていれば、風が通っていくのです。そして業績を上げるには、組織の一人一人が自分の持ち場を確実に守ってくれていることを評価する方が大事なのです。反対に、持ち場が曖昧になるほど、職員は自負心を失っていきます。