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知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

料理が食品ロスを作る話

 日本料理は素晴らしいとか、出汁が効いているとか、テレビだけでなくネットでも料理のことは日々紹介されますし絶賛されることも多数あります。手の込んだものから簡単なものまで、とにかくおいしい料理や変わった料理の料理本も、新刊本が繰り返し提供されています。ところが、その一方で、食品ロスが大量に出ていることが報道されて、コンビニなどでは、期限が切れた弁当などの廃棄が多いと取り上げられたりもしています。時間の経過が重要な食品の大量生産、大量販売の現場では、廃棄による損失以上に収益が見込めるなら、販売戦略からすれば廃棄は織り込み済みの必要経費でしかありませんから、勿体ないとは思ってもシステムとして実施するしかありません。購入する方も、多種並んでいれば選択するという満足感があるし選択するときは、新しいものとか、美味しそうなものとか、手作りだとか、調理方法にこだわったものなどに意識がいってしまいます。結果として、売れ残りをスーパーは閉店前に割引して少しでも原材料代・人件費の足しにしようと販売しますが、24時間営業では、そうもいきません。つまり、売れ残った弁当やパンなどが、廃棄される場面をテレビ等では報道して、まだ食べられるものが廃棄されていることを食品ロスとして取り上げられているのですが、私は、実際の食品の扱いを見てみると、完成品の廃棄より、調理という過程の方がはるかに廃棄が大きいということを考えるべきだと思うのです。現在の調理では、食材が人体に不具合を起こすことのある部分を廃棄するのではなく、見た目や味付け、触感ということのために廃棄させられていることの方が多くなっています。そして、それが調理だと誤解されるようになってきたし、料理ということにこだわれば拘るほど、食材からの廃棄部分は多くなっているのです。今日では、リンゴの皮を剥くのも、野菜の皮を剥くのも常識です。栄養学では皮と果肉のところに栄養があると言いますが、今どきメロンの皮がひらひらになるほど削って食べませんし、スイカの皮を漬物にしてまで食べようともしません。煮干しで出汁をとっても、出汁を取られた煮干しをおやつのように食べていた時代はずっと遠いものです。ジャガイモであれニンジンであれ、廃棄率をいかに低くするかと薄く皮が剥けることが技能だった時代は遠いことです。食材は食べきるといった空腹の時代の日本では、食材の汚れを落とすは重要でしたが皮を剥くは重要ではありませんでした。苦みや渋みなどの食べにくい部分を分離して、あく抜きとか渋抜きなどとしてでも食べていました。だから、大根や蕪に葉っぱがついていても食べられるから困らなかったし、ニンジンやキュウリが曲がっていても皮を剥かなければ困らなかったのです。しかし、懐石などと言われるような料理となると、食材の元の形をそのまま使用はしませんから、形を揃えるだけでも廃棄部分は多くなってしまうのです。ニンジンで花型を抜いた残りを微塵切りにしてハンバークやチャーハンにでも入れるかという時代ではなくなったのです。おいしい料理だけでなく、見た目も大事でそのためにたくさんの食材が廃棄させられる時代なのです。過去には廃棄食材も豚の餌にしたりしていましたが、今どきの日本ではそんな飼育方法も否定されています。健康に良い豆腐を作るための大豆、しかし豆腐にするとおからという残り物が出てきます。それが、今では産業廃棄物です。ひと手間かければ食べられるという時代ではなく、ひと手間かけて見栄え良くするために廃棄するという時代です。

 先日、ゴリラなど生物学的にヒトに近い霊長類が、主に人間の活動が原因で絶滅の脅威にさらされているという報告がありました。その原因は、狩猟や違法ペット取引、森林伐採、道路建設、採鉱、耕作といった人間の活動とされています。特に地元の方が生活費を稼ぐための農業として、豆腐の原料である大豆や、コーヒー豆を生産するために開墾されているということです。現地で消費されるのではなく、世界各地に輸出し換金するために農地にされることで、多くの森林や原野がなくなっているのです。スウェーデン大手イケア(IKEA)の家具など、世界展開されている工業製品を購入するときに、森林破壊などと考えることもありませんし、コーヒーを飲むたびに、自然を破壊し野生動物を絶滅に追い込むリスクがあるなどと考えませんが、貧しい国にとって売れるものが自然を破壊することに繋がるとわかっていても、今の生活のために必要なこととされいます。つまり、消費者向け製品と販売が、種の絶滅を助長しているとまで言われています。グルメの時代の中、食材の廃棄率は、年々高まっています。にもかかわらず、その食材が国内で生産されたものより、国外の物がますます増えているのです。折角海外から購入したのだから、全部丸ごと食べきるという意識にならなければ、見えないところの食品ロスはますます大きくなると思うのです。コンビニの弁当廃棄はわかりやすい提示かもしれませんが、一人一人の調理によって出てきている食材の廃棄率の方がはるかに大きな食品ロスだということも考えるべきだと思うのです。