知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

健康被害の無い薬用石鹸はないの話

   もう何十年も効果があると販売してきた「薬用石鹸」の効果を証明しろと米食品医薬品局がメーカーに突きつけたら、抗菌石鹸の病気予防や感染抑制効果が、普通の石鹸よりも勝ることを実証する証拠を提出できなかったので、19種類の殺菌剤を含有する石鹸などの販売を禁止すると発表したことで日本でも大慌てで対策をはじめました。しかも、殺菌効果を否定しただけで無く、免疫系に悪影響を及ぼすおそれがあるとまで言われました。全部駄目という話では無くて、殺菌効果があるとされていたトリクロサンとトリクロカルバンは駄目だと言う事で、同様の成分を含む商品の確認と使用中止をしようとするですが、実態は、イソプロピルメチルフェノールなど別の殺菌成分に切り替えるだけのことのようです。この化学薬品が駄目なら次の化学薬品に替えるだけで、本当に薬用石鹸て必要なのかという話では無いのです。殺菌作用をうたう商品は、石鹸、ハンドソープ、ボディソープ、歯磨き粉から、防腐剤・抗菌剤・消臭剤、化粧水やクレンジング剤、美容液、フェイスクリーム、日焼け止めといった化粧品類にも添加されています。それにも関わらずその成分が、環境ホルモン作用として、内分泌かく乱作用や筋収縮異常との関連があって、動物実験では肝硬変や肝細胞がんの発症リスクが高まるとまで言われています。歯磨き粉に入っていたり石鹸に入っていれば、体内に取り込まれる可能性は高く、毒と指定されたトリクロサンやトリクロカルバンが尿から出た、母乳から出た、河川などの水質調査でも出たと言われても、もう散々使っちまったよ、どうすれば良いんだと居直るしか私には手段がありません。つまり、人間が作り出した、危険な化学物質を薬用だと言ってみんなで手を洗い、身体を洗いながら、下水を通して自分の身近な自然にばらまいていたという事にもなりますから、これが汚染というなら汚染されていないところの方が少ないぐらいみんなで長年かけて汚染し続けていたことになります。調べると、ヨーロッパでは昨年から販売中止となっていると言うことでした。同様に、化粧品の開発でも「動物実験」しない方法にシフトしていて、欧州では、動物実験をした化粧品の販売は禁じられているとのことです。「美しさのために、動物を犠牲にしてはならない」という消費者の運動を受けて、欧州連合(EU)は2013年、動物実験をした全ての化粧品と原料の販売を禁止したと言います。日本では、資生堂が13年に動物実験の取りやめを表明し、花王やコーセーなど大手メーカーも止めたと言う事で感心する人もいるかも知れませんが、実際は、実験に使用できる人工の皮膚が開発されたと言う事で、モルモットでは4週間で100万円かかった実験が、2日で2万円程度で検査できるというメリットがあったからにすぎません。動物の福祉などと言っても、ウサギやマウスなどを使う動物実験を全く止めたわけでは無く、人工で作れる部位に関しては止めただけで、全身や生殖機能への実験では続いています。ですから今はメリットがあるからそう言っていても、動物実験を繰り返してもカネボウの美白のように実害が出るものが有るのですから、人工製品で実害が出ればいつ動物実験に戻るかは分かりません。

 人間は有史以前から、顔や身体に色々塗り続けてきたのですから、化粧は必要かという論議をするつもりはありませんが、動物実験どころか人体実験までして、化学薬品を信奉するほど作り出す必要があるのかは考える必要があると思うのです。そもそも抗菌石鹸を使用する前に、水道には塩素という殺菌剤が十分入れられていますし、何十年後かには水道水は毒だったなんて事にもなりかねないのです。むしろ、人間の作り出した化学薬品で陸だけで無く、海もどっぷりと汚染されて、アトピーどころか、環境ホルモンの影響による動物全体の異常が現実になることだって考えられるのです。食中毒が発生すると餅つき大会が中止になる時代ですが、ばい菌を殺すだけの方法から、人体の免疫を高める方法へと転換しなければならない時期に来ているのかも知れません。人間が作り出した物には、限界があるのですから、一方的に強い殺菌剤では無くて、自然界とバランスのとれた創造に留めておく必要もあるのではないかと思うのです。