知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

だっこの視点の話

 抱っこは子どもにとって重要な学習の一つなのですが、少し昔までは、「抱き癖が付く」と言って出来るだけ抱かない方が良いという育児が基本でした。社会事情としては間違いではありません。洗濯機が今のようにボタンを押すだけでは無い時代、炊事・洗濯・清掃などの家事は、一人の働きとしては十分な時間を要しました。これに育児が関わったときに、オンブしたままで家事が行えれば両立できますから、両手が塞がれてしまう抱っこは出来るだけ避ける方法を教訓としたと思われます。ですから家事が機械化された現代に過去の育児法を適用しようとすることは誤りで育児は現在の社会状況に合わせて変えていかなければなりません。その一つとして、抱っこがあります。抱っこは、子どもの学習に非常に重要です。それは、子どもが、抱っこする大人の視線を確認することが出来、表情を確認することが出来るからです。そして、大人が見ている視線で風景を確認出来るからです。例えば、子どもに食べ物を食べさせている親を見てください。子どもに向かって口開けてと言いながら自分も開けています。介護ではあまり見ない事です。子どもは大人の動作を視線で追っています。そして真似ようとします。

 親の顔の表情や親が見ている視線は、子どもにとってとても重要です。抱っこは子どもに親の理解を深めます。親は何でも教えようとしますが、子どもは子どもの視線で学習していくのです。子どもは分からないのでは無く自分なりに理解していこうと情報収集をしています。その時、見上げなければならない表情より、すぐ横にある表情や息づかいは親の情報として重要なのです。だから子どもは、怠けて抱っこをせがむのでは無いのです。子どもの動作から育児を組み立てていくことも大事だと思うのです。