知ったかぶりの話し

知ってるつもりの思い込みの感覚に、非常識な横やりを入れて覧る試みです

摘み食いのような言葉に酔わない話

 知識のある人は、人を説得するときに響きの良い、受け入れやすい言葉を使います。例えば集団をまとめるときのスローガンに「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というのがあります。原典よりは、「アレクサンドル・デュマが書いた「巌窟王」の中で「三銃士」が剣を合わせ誓う言葉の方が有名ですが、誤訳があって「one」は「一人」でなく「勝利」の意味である“ Victory ”だと言う話もあります。つまり「一人はみんなのために、みんなは勝利のために」になると随分受け止め方は違ってきます。もう一つ、「働かざる者喰うべからず」というのも、原典は聖書と言う事もありますが、レーニンがこの言葉を使ったことの方が有名で、その時は働かない人はご飯を食べるなでは無く、お金や土地を沢山持っているだけで働かない、不労所得で荒稼ぎする資産家達を戒める為に使ったものです。

 言葉には、前後の関わりが大切です。誰が、何のために、何故発信したのかが理解されてこその言葉を、自分の都合いいように利用するのは、言葉の摘み食いと云えます。響きの良い、受け入れやすい言葉に酔わされて騙されないようにするのも言葉を大切にすることだと思います。